蜘蛛好きの女の子

古い家で、いろんな同居人が顔を出してくれます。きょうはお風呂場の窓(内側)にヤモリがいた。なんかこういうシルエットのキャンプ用品のメーカーがなかったっけ?

ほっといたら出ていくので、特に脅威は感じないのだが、時々、招かれざる客が入ってきますよね…。たとえばGとか…。ということで、「駆除剤」を1年ぶりにセット。屋外用が効きます。あと、家の中で見つけたときは「凍らせるタイプ」で殺虫剤成分なしの「ジェット」を使っています。これがないともう闘えないね。殺虫剤系だと子どもがなんでも舐めるので怖いし…。

そういえば大学に「とにかく私は蜘蛛が好き」という女の子がいたなあということを思い出した。

高校の同級生であったのだが、大学に来るまではあまり話したことはなかった。蜘蛛が好きというのも大学に来てから知った。なんでも下宿先では、大小さまざまな蜘蛛を虫ケースで飼育しているとのことだった。初めて聞いた当時、「へえー、そ、そう(驚)」みたいなリアクションをしてしまった覚えがあるんだけど、いま思うと一度見せてもらえば良かったな。面白そうだ。もちろん生物学部に進み、蜘蛛を研究していた。

大学構内をジョギングしていると、その女の子が道路わきの茂みをじっと観察していた。何をしているんだろうと(大体察しはついたのだが)声をかけてみると、やはり大きな蜘蛛を観察しているのであった。季節は秋であり、なにげなく「蜘蛛は冬を越せるのかな」と聞くと、「何をいまさら…」というような表情をして生体は死んでしまっても幼虫が「卵のう」という糸でつくった蛸壺のようなものの中で越冬し、春を迎える種類がいることなどを教えてくれた。常識なのかな。

時は流れ、僕は大学を卒業し、会社の初任地である広島に移り住んだ。本当に偶然、「虫の駆除」について調べないといけない必要があって、殺虫剤メーカーなどをいろいろ調べていると、本当に偶然、蜘蛛好きの女の子が大手殺虫剤メーカーの広島支店で働いていることを知った(殺虫剤の話でなんで思い出したかというとココが理由です)。世間は狭いです。早速、連絡をとって話を聞かせてもらった。かなり詳しく昨今の殺虫剤開発について教えてくれて、ありがたかった。帰りに、「あの、これ、よかったら」と大量の殺虫剤を笑顔で渡してくれた。

いろいろ教えてもらったお礼の連絡をして以来、その女の子とは連絡をとってないけど、あんなに蜘蛛好きだった子が、いまや蜘蛛を殺す薬を開発する仕事をしているなんて、「好き」を仕事にするって難しいことなんだなあと強く思った覚えがあります。いま、どこで何をしているんだろう。蜘蛛たちも元気だといいですけど。

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