ミニトマト、植えますか?川遊びに行きますか?(子どものリスクとアクティビティ)

最近、子どもが朝起きると、トマトの赤いのがないかと探りにいくようになった。

ほほえましいと思いつつも、奥さんと一緒にひとつだけ守っていることがある。
それは、取ったものをそのまま食べさせないこと。もっと言えば
トマトは半分に切って食べさせること、だ。

というのも、去年、こんなツイートを見かけたからだ。

詳しくは上記記事を読んで頂きたいのですが、紹介されている事例(どれも本当に痛ましい…)をひとつ引用すると、

1歳11か月の男児。夕方、家の裏の畑でお母さんがミニトマトを採るのについていった。まだ青いミニトマトを口に入れていたところ、急に苦しみ出した。すぐに救急車を呼び、近所の医院を経て、私のいた病院に来た。来院時、心臓は停止し、呼吸もなかった。各種の治療を行ったが、21日目に亡くなった。

20200915YomiDr.「ブドウの皮をむいてあげた父親の目の前で…乳幼児の窒息死 「柔軟な球形」が危ない」
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20200907-OYTET50012/

本当に恐ろしい事例で、ご家族の気持ちを思うと、やりきれない気持ちになる。
記事では、ミニトマトの他に、ブドウ、いくら(!)、トウモロコシ等でも窒息のリスクがあることを伝えている。

子どもが喉に詰まらせて危ないモノは、どんな大きさなのか。
「東京ベイ医療センター」の記事によれば、子どもの気管の直径は大人の小指ほど(赤ちゃんであればストロー程度)。いかに小さく、詰まりやすいかが想像できる。

twitterで引用されていた記事は、特に「丸い食べ物で、柔軟性があり、 気道の形に合わせて変化しやすい「応形性」があるものはとくに危険」とした上で、次のように締めくくっている。

育てやすいからか、家庭菜園や保育所の園庭でミニトマトを栽培しているのを見かけます。実がなると、子どもは興味を持ち、もぎ取って口に入れようとしますから、たいへん危険です。幼児がいる間は、他の野菜の栽培に変更すべきだと思います。(山中龍宏 緑園こどもクリニック院長)

(同上)

これを読んだとき、わたしは「そうか。ミニトマトを庭で育てるのをやめよう」と思い、奥さんにもそう伝えた。

しかし、奥さんはしばし考え、本当にそうするべきか、と私に問うた。意外な反応だった。

たしかに子育てをする上で周りの環境のリスクを低減させておくことは非常に重要なことだ。だが、リスクと取らないことで、失われることもあるのではないか、というのが奥さんの言い分だった。
たとえば、トマトが実っているのを見て、自分でもいで、取り立ての野菜を食べる経験…といったことだ。

難しい問題だと思った。特にトマトにこだわる必要はなく、取れたての野菜ということであればカブでも、春菊でもよいではないか。でも、子どもはトマトが好きである。きっと、たくさんトマトが実ったら喜ぶだろうなと思った(実際、すごく喜んだ)。

子どもはことし3歳になるから、あと何年か待ってから、満を持して植えるという手もある。

わたしはどうするべきか、何日か、電車の中や、通勤途中や、一人でお昼ご飯を咀嚼するときなどに考えた。迷うくらいならやめておけば、リスクを避けられるので、そうすべきという思いもあったが、これはトマトの問題だけではないということもうすうす感じ始めていた。

たとえば、川遊び。毎年、水の事故で本当に痛ましい事故がおこる。毎年、この季節になると「全国の水難事故マップ(公益財団法人 河川財団)」を見てゾッとする。

全国の水難事故マップ2003-2020|子どもの水辺サポートセンター
河川財団は、河川に関する調査・研究及び環境整備並びに河川への理解を深めるための活動に対する助成 並びにその実施を行うことにより、国土の利用、整備又は保全及び国民の心身の健全な発達を促進し、公共の福祉を増進することを目的としています。

ゾッとして、気を引き締めて…でも、やめずに、やはり今年も山に行き、川で遊んだ。なぜなら、川に行かないと得られない経験があるような気がするからだ。

冒頭で書いた通りなので、結果は書くまでもないのだが、私たちは、ミニトマトを植えた。鈴なりになった実が、赤くなっていないか確かめに行く子ども。そして、(予想に反して)赤い実だけを器用にザルに入れて見せてくれる。

「洗って切ってから食べるんだよ!」と不審な動きを見ると制止する。いまでは、息子も、そういうもんなのかな、と思ってくれているようだ。ただ、油断はできない。twitterで紹介されていた記事の事例は、どれも、まぎれもない”日常”の中で急に起こった事故だった。”そのとき”に前触れなどないのだ。

こうやって書いていても、やっぱり、難しいなと思う。子育てでも、何でも、ささいなことだけど、実はこうした難しい判断の連続なんだと思う。

記事を読んだ方の中には、「理解できない。専門家の言う通り、わざわざ子どもの命を危険にさらさず、家庭菜園でミニトマトは避けるべきではないのか」と思われた方もあると思う。それは、全然、間違いではない。ただ、切ったトマトをもぐもぐたべて、「おいしい~!」と笑顔になる息子を見られることもまた、間違いではないのだと思う。難しい。

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