貝の塩抜きは楽しい

貝の塩抜きというのは、何だか楽しい作業である。

まずは水道水で簡単に洗って、貝どうしが重ならないくらいの広さのある皿かボールに入れる。300mlあたり10gの食塩を溶かした水に浸けて、暗くて涼しいところに置いておく。

しばらくは「・・・」という感じて様子を伺っているのだが、ややあって写真のようににゅっと出てきて砂を吐き始める。結構、勢いよく水を吐き出すので周りが濡れることもしばしば。

どうしてこんなに強く吐き出す必要があるのか、いくら考えてもわからない。どうも、これからの運命を知っていて、「せめて一矢報いてやる…。えいや。」と考えているとしか思えない、くらいに勢いよくぴゅっと吹き出します。

そういえば「ドクター・ドリトル」という本の中で、動物と話ができる能力を持つドリトル先生が、必要に迫られて貝とコミュニケーションを試みるが、中々うまくいかず、「こいつらめっちゃ無口で気難しいから、ものすごい根気が必要だよ、ふう」みたいなことを言うシーンが(たしか)あった気がする。砂抜きの工程をじっと見ていると、「・・・」フェーズから急にものすごい勢いで水を吐き出し始めるあたり、なんとなく気難しさが感じられるような気がして、ドリトル先生の気持ちがわからんでもない。

それにしても、1時間ほど経って下に溜まった汚れやら砂を見て(ああ…もし砂抜きしなかったらこんなにたくさん砂入っちゃってたんだなこわいこわい)と何だか嬉しい気持ちになるのは僕だけでしょうか。あのじゃりっていう食感はブレーキの利かない自転車で急な坂道を下るくらい恐ろしい。

あさりくんたちのこの後の運命を考えると非常に申し訳ない気持ちになるけど、あさりたっぷりのボンゴレビアンコってなんであんなに美味しいんでしょうね。

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