ということでね、気づけば今年もあとわずか。
来年は戌年ですか。
ことしも、なんとなく書いてみますか…。
参考)これまでのアワード
どんな本読んだっけな…。
なんか今年忙しかったというか、心の余裕が少なかったような気がしますね…。
振り返ってみましょう。
最後に、読んだ本リストも掲載されています。
***
サイモン・シン「暗号解読」(上)(下)。
これは良かった。
ずっと読みたいと思って、実は読んでいなかった本。
古今東西の「暗号」を、作り側破る側双方の人間「ドラマ」にしたてつつ、
お得意の「難しいことを面白いまま、優しく」という解説で、
最後は面白く「なるほど」と膝を打てる本。
最後には、我々が日常的に使っている
通信暗号の話とも結びつき、この人々の上に、
今のインターネットも成り立っているんだなと感慨深さすら感じます。
科学コミュニケーションに関わるものとして、
尊敬すべき著者の一人ですね…。
通勤電車の中で楽しく読みました。
上下巻それぞれ、
「顕れるイデア編」
「遷ろうメタファー編」
という副題がついています。なんじゃそら。笑
小説家、塾講師、ライター、暗号士、無職などなど、
主人公の「職業観」みたいなものも面白い村上春樹の小説ですが、
今回の主人公は「画家」です。
絵の描き方についての思考みたいな記述もあるんですが、
すごく現実味があって、読みいってしまいます。
この記述の中にも、村上春樹の「小説の創作観」が入っている気がします。
妻と離婚し(おなじみ)、友人の父親のアトリエを借りて創作活動を始める主人公。
紳士っぽいけど個性の強い男と、少女と知り合い、
不思議な出来事に巻き込まれていく…みたいなストーリです。
個性の強い男(免色さん)のキャラがすごい良くて、
先が読みたくなる大きな要因になっていたと思います。
個人的には、すごい舞台を設定したけど、
なんだか盛り上がったような盛り上がらなかったような…という
「あと一歩」感が、しないでもない。
かなり踏み込んで川上未映子が村上春樹にインタビューした一冊。
これはかなり読みごたえがありました。
聞いてほしいことを聞いてくれ、そこからさらに、
自身も小説家だからこそ踏み込める質問をぐいぐいしてくれています。
(川上さんも小説家。「乳と卵」で芥川賞とった方ですね。)
イタリア旅行中に電車の中で一気に読んでしまった。
良かったという印象はあるのですが、具体的なことをあまり思い出せない…。
ワインがぶのみしながら読んだからかな…。
また読み返したい一冊うでもあります。
大学時代に先輩から
「面白いから!読んで!絶対!」
と勧められたまま、10年ほど経過していたが、
たまたま奥さんが持っていたので、読んでみました。
いやこれ面白いですね。
休職中の警察官である主人公が、
甥っ子(たしか)から婚約者失踪の操作をしてくれと依頼を受け、
操作を始めると、意外な事実が…みたいな話なのですが、
ポイントは「クレジットカード」の抱える闇みたいなものに迫っているところ。
ストーリーも面白かったし、よく取材しているんだなあと思いました。
これはもう本当に素晴らしい小説でした。
財前五郎という、腕はあるのだが権力欲もすごい、
みたいなこの主人公がものすごく魅力的。
続きが気になって仕方ない本です。
最後に見事な完結を迎えるのですが、
「あとがき」を読むと、本当は続編執筆の予定はなかった、
と山崎豊子自身が語っていて、びっくりしました。
こちらが山崎さんの言。しびれますね…。
引き続いて、さらに山崎豊子の傑作と名高いシリーズ。
この本も、主には通勤電車の中で読んだのですが、これは…本当に圧倒されました。
ええ。圧倒されると言っていいと思います。
戦争によって、引き裂かれた家族。
残された戦争孤児がたどった過酷な反省。
主人公の一心と妹の再開のシーン、
そして思わぬ父との再会のシーンには、本当に心打たれました…。
山崎豊子もかなり取材をしたようなのですが、
そこからさらに素晴らしい人間ドラマとして小説にしているところは、
本当に一流の小説家とはこういう文章を書くのか…という感じです。
ぜひぜひ、ご興味ある方手に取ってみてください。
これも最高に面白かった一冊でした。
2011年からモーリタニアへ渡り、
「サバクトビバッタ」というバッタの研究を行った著者。
本当にサバクトビバッタの大群に出会い、研究がまとめられるのか…
冒険譚風のコミカルな文章をワクワクドキドキしながら読める一冊です。
さらに、著者がアフリカに行くことになった理由の一つが、
日本で「研究者としてやっていくことの難しさ」。
ポスドク問題がリアルに描かれていることも、この本の興味深さの一つです。
本当に面白いので、これは特におススメの一冊です!
How to 本ってあんまり読まないのですが、仕事の関係で読んだ本。
面白かったですね。
メガネって中学生からかけていますが、
「そうだったのか!」という情報にあふれています。
そして時代によって「良い目」は変わってきているのに、
メガネ作りには「視力」一辺倒で、
「遠くが見える」しか考慮していないことが、
現代の眼精疲労、ひいては頭痛や肩こりなどの症状を増やしているのでは…
という自説を、臨床医としての経験もふんだんに紹介しながら展開していきます。
メガネを買おうかなと思っている方、一度読んでみては?
ことしの「大石式読書アワード」は…
総合部門:山崎豊子「大地の子」
に決定です!ぱちぱちぱちぱち!
そして、科学ノンフィクション特別賞に、
前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」
に決定しました!
というわけで、みなさまよいお年を~。
- ◯サイモン・シン「暗号解読(上)」
- ◯サイモン・シン「暗号解読(下)」
- 〇村上春樹「騎士団長殺し(上)」
- 〇村上春樹「騎士団長殺し(下)」
- ◯20170320内田樹「呪いの時代」
- 20170324星新一「ノックの音が」
- 20170427大関真之「先生、それって「量子」の仕業ですか?」
- ◯20170511村上春樹・川上未映子「みみずくは黄昏に飛びたつ」
- 〇20170520司馬遼太郎「世に棲む日々」1
- 20170528「単位が取れるフーリエ変換」
- 〇20170530司馬遼太郎「世に棲む日日」2
- 20170530武村政春「生物はウイルスが進化させた」
- 〇司馬遼太郎「世に棲む日々」3
- 〇20170616司馬遼太郎「世に棲む日々」4
- ◯20170617ジョーゼフ・キャンベル「ジョーゼフ・キャンベルが言うには、愛ある結婚は冒険である」
- 20170620司馬遼太郎「十六の話」
- 20170621「ジオテクノート⑨地震動」
- 20170622上間陽子「裸足で逃げる」
- 20170625宮本常一「空からの民俗学」
- 20170629斉藤大樹「トコトンやさしい地震と建物の本」
- 〇20170707宮部みゆき「火車」
- 〇20170713山崎豊子「白い巨塔」1
- 〇20170715山崎豊子「白い巨塔」2
- 〇20170719山崎豊子「白い巨塔」3
- 〇20170724山崎豊子「白い巨塔」4
- ◎20170729山崎豊子「白い巨塔」5
- ◎20170802山崎豊子「大地の子」1
- ◎201708山崎豊子「大地の子」2
- ◎201708山崎豊子「大地の子」3
- ◎20170823山崎豊子「大地の子」4
- ◎20170828前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」
- 〇20170907梶田雅義「人生が変わるメガネ選び」
- 20170907藤宏美「めがねを買いに」
- 20170907藤宏美「あなたの眼鏡はここが間違っている」
- ◎20170920山岸俊夫「「しがらみ」を科学する」
- 20170921「ナショナルジオグラフィックが見た日本の100年」
- 201710内山公「目から鱗のメガネ楽」
- 201710アストリッド・ヴィトルズ「メガネの辞典 あるいはメガネの文化誌」
- 201710市川一夫「正しく理解して選ぶ 視力矯正治療」
- 201710田村知則「「よく見える」の落とし穴」
- 201710坪井隆「眼精疲労を防ぐ メガネ・コンタクトレンズの選び方」
- 201710盛岡清史「目を温めると身体が自然によみがえる!」
- 201710菅澤淳「めざせ!快適なめがね 眼鏡調節の達人」
- 201710所敬/梶田雅義「眼鏡処方の実際」
- 2010710赤城五郎「眼鏡学 初心者のための手引き」
- 20171023廣瀬隆「二酸化炭素温暖化説の崩壊」
- 20171023深井有「地球はもう温暖化していない」
- 20171023「科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている」
- 村上春樹「村上朝日堂」(再)
- 村上春樹「国境の南、太陽の西」(再)
- 20171216水上勉「土を食う日々」
- 20171216サンスティーン「スター・ウォーズによると世界は」
- C.R.ラオ「統計学とは何か」
コメント
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