大河ドラマ「龍馬伝」の序盤で、坂本龍馬が長州の久坂玄瑞(くさか・げんずい)に会いに行くシーンが有る。
坂本の郷里、土佐では、武市半平太らが中心となって、土佐勤王党が組織された。
周りが「尊王攘夷だ!」、「日本を守れ!」と盛り上がる一方、坂本は、「攘夷ってそもそもなに?」、「何したらいいの、全然わかんない」という疑問を、久坂にぶつけに行く。
久坂は、語る。
攘夷だ攘夷だと言って、やたらと外国人を打ち払おうとしても始まらぬ。
まずは外国の進んだ文化を学んで、外国と対等に渡り合える力をつけることだ、と。
そして、諸外国によって日本国内の金が持ち出されてしまう事例を説明し、日本を守るためには、藩という狭い枠組みにとらわれず、日本人みなが力を合わせる必要が有る、と説く。
久坂の話は、後に脱藩し、「薩長同盟」の立役者となる坂本に大きな影響を与えた。
この回を見たとき、僕はまだ就職活動のただ中にいた。
そして、僕には、この話が「維新の時代の、遠い昔のお話」と思ってしまうことができなかった。
我々は、3年(あるいはM1)になったら、「就職活動をやるもの」だと思っている。
リクナビに登録する。
合同説明会に行く。
個別企業の説明会や講座に参加して、新卒の間に内定をとらなければ、と思う。
(追記;これをやる事自体が悪いのではなく、「なんのためにこれらをやるのか」を考える必要があるのではないですか?というのが論旨です。)
知らず知らずの間に、「就職活動だ、就職活動だ」と騒いでいる。
しかし、その実、
「”就職活動”とは、自分にとって、一体なんなのか?」
「何をもって、自分の”就職活動”が成功したと言えるのだろうか」
ということを考えていなかったのではないか、と思わされたのである。
坂本 龍馬は、とことん考えた。
自分にとって、攘夷とは一体なんなのか?
そして、そのためには何をすればいいのか?
自分の頭と、足と、心を使って成し遂げた偉業は、「日本を変えた出来事」として、今なお、色あせる事無く語り継がれている。
就職活動をしていて感じたのは、面接官も
「就活本に載っているきれいごと」
なんか、全然聞きたくない、ということである。
たとえちっぽけでも、馬鹿みたいでも、
「自分の頭で考え、自分の足で行動して、自分の心で感じたこと」
を聞きたがっている、ということだ。
「身に染みてこそ、教養」である。
実感を伴わない言葉に、人を動かす力は無い、というのが就職活動を通して学んだ事のひとつである。
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