日本肥満学会の編集している「肥満症診療ガイドライン」について、2022年版が出ていたのでチェックしてみた。
いま絶賛、減量中の身として、素人ながら興味深い箇所がたくさんあったので、一部を抜粋して紹介したい。
ただし、あくまで個人的な興味を基準に一部を抜粋したものです。詳細については、本書で前後の文脈や出典等も確認してください。
何を食べたらいいのかな?
『「肥満」とは、体脂肪細胞に脂肪が過剰に蓄積した状態』を指すらしい。基本的には、摂取した栄養素で脂肪が蓄積される訳だが、その栄養素は主に
- 脂質
- 糖質
- 蛋白質
の3種類であるらしい。
この中で言うと、脂質と糖質が「主犯格」だろうと思って読み進めると、意外な記述が。
脂肪エネルギー比率の増加が認められなくなった1990年代後半以降も肥満者割合は増加したため、脂質摂取だけで肥満度の増加は説明できなかった。さらに個人レベルでも低脂肪食が長期の体重減少をもたらすことを示した報告はなく、脂質の長期的な制限が体重増加の抑制に有効であるとは言い切れない。
p33,2肥満・肥満症の要因(成因)「1食生活」
そこまで書いてないから分からないけど、たとえば牛乳だけ低脂肪乳にしても、効果が得られるかは懐疑的ということか。
じゃあ、どうしたらいいねん、と読み進めるともう一人の主犯格「糖質」についての記述が。
脂肪エネルギー比率を維持し、糖質を減らし蛋白質を増やした6ヶ月の介入試験では、高蛋白質摂取群(エネルギー比率25%)は低蛋白質摂取群(エネルギー比率12%)に比し、体重および脂肪の減少量が多かった。
p33,2肥満・肥満症の要因(成因)「1食生活」
なるほど。「脂肪エネルギー比率」は増やさずに、エネルギーの摂取の比率を糖質よりも、タンパク質に重きを置くことで体重減少と脂肪減少が期待できるということか。ご飯は減らして鳥ムネ肉のハムで…っていうのもアリかもしれないですね。
あと、下記のように推奨されるもの(もちろん、それで総摂取カロリーが増えたら意味ないのでしょうが)の記載もあった。
肥満を抑制する可能性が示唆されているものとして、全粒穀類や食物繊維、果物や野菜(中略)、乳製品、カフェインなどがあり、一方、砂糖入り甘味飲料、低カロリー甘味料などの摂取は肥満のリスクを高めると考えられている。ナッツ類は脂質代謝に好影響を及ぼすが、体重への影響はないと推定された。
p33,2肥満・肥満症の要因(成因)「1食生活」
ふうん。カフェインがあったのは意外。お茶請けに甘い物ほしくなりそうだけど…。
というか、乳製品って肥満抑制の可能性有るの!?太りそうだけど。ナッツって体によいイメージあるけど、体重への影響については相関が強くなさそうなのですね。
他の章でも詳しく書かれているのですが、「低カロリー甘味料」がむしろ肥満リスクを高める可能性のある結果が出ている研究があるというのは意外だった。
どれだけ食べたらいいのかな?
ちょっとこまかい数字が出てきますが見ていきましょう。
目標とする1日の摂取エネルギー量は、25kcal×目標体重(kg)以下(高肥満症の場合には20~25kcal×目標体重[kg]以下)とする。
p53,2食事療法「エネルギー量の設定」
たとえば目標体重が60kgであれば、
25kcal × 60kg = 1500kcal
が、1日の目標の摂取カロリーになるわけですね。
で、この1500kcalを、下記の分け方で摂取することが望まれる。
各栄養素のバランスとしては、指示エネルギーのうち、炭水化物50~65%、蛋白質13~20%、脂肪20~30%とするのが一般的である。
p54,2食事療法「エネルギー産生栄養素の比率」
なので、
炭水化物:750kcal(50%)
タンパク質:300kcal(20%)
脂肪:450kcal(30%)
とかって感じで摂取すると、理論的には、目標体重に近づいていきますよという考えでいいのかな。
もちろん、個人によって差があるだろうし、運動してるかどうか等でも変わってくるはず。
どうやって食べたらいいのかな?
結論を先に書くと、「早食いは百害あって一利無し」ということみたいです。
というか逆に、「しっかり噛むと、めっちゃいいことあるよ」ということまで分かっているという。結果的に、早食いじゃなくなるだろうし。
食べる速さとエネルギー摂取量および肥満度は優位な性の関連性を示したが、エネルギー摂取量および肥満度は優位な性の関連性を示したが、エネルギー摂取量を調整しても食べる速さと肥満度に関連があったことが報告されている。(中略)早食いはエネルギー摂取量の過多だけでなく、血糖や高インスリン血症を介して脂肪蓄積を促す可能性が示唆されている。
p34,2肥満・肥満症の要因(成因)「1食生活」
しっかりとした咀嚼は早食いの是正のみならず、食本来のもつ歯ごたえや味覚の回復、オーラルフレイルの予防、そして満腹感覚の改善による食事量の減少、さらに内臓脂肪特異的な脂肪分解まで期待できる。
p68,4行動療法「行動療法の具体的な手法」4)咀嚼法
その他の意外な項目
うっ。うちはめちゃテレビ置いてあります。興味深い相関ですね…。
児童を対象とした調査では、寝室にテレビがある者はない者に比し、その後の肥満割合が大きかった。
p35,2肥満・肥満症の要因(成因)「4睡眠」
日本肥満学会の編集している「肥満症診療ガイドライン」(2022年版)からの抜粋でした。
コメント