塩おにぎりの思い出

大学生の頃、お金を節約するために、
昼食を「.塩おにぎり」でしのいでいた時期があった。

食堂の定食味噌汁(セルフ)を
おばちゃんの隙を見て飲んだりして。
(普通に窃盗罪だ。)

ある日、自転車がパンクしたので直しに行った。
偏屈で恐いと定評のある自転車屋さんだ。

お願いしている間、
塩おにぎりを食べていた。

おじさんが
「ちっ、何食ってやがんだ」
と聞いたので、
塩おにぎりです、と答えた。

「塩って…具はないのか」。
はい。
「…。」

しばし、僕の風体をじろじろとみて、
ふいに店内に消え、
戻ってきた時にはウーロン茶の缶を持っていた。

「やるよ…これ…」。
えっ?
「ちっ、やるよ!」

なんだ結構いい人じゃんと思って研究室に帰り、
先輩に報告したところ、
あのおじさんがねえ…と、
なんとも言えない目線で、
また風体をじろじろと眺められたのだった。

お腹が空いて、おにぎり食べたいと思ったら、ふいに思い出しました。

まだあるだろうか、あの自転車屋さん。

コメント