意識を失いかけた話

目の前が真っ暗に…という表現がありますが、実際には真っ白になることが多いです。人によって違うのだろうか?少なくとも、僕の場合は真っ白でした。これまで人生で3回、真っ白になったことがある。

1回目は、大学一年生の時だった。風邪気味だけど行けるかなと思って我慢して物理の授業を受けていたら(まだ真面目に授業を受けていたんだな…)、堪え難い吐き気が襲ってきて、トイレまでフラフラ移動して、個室に入った。しゃがんで吐こうとしたけど吐けず、仕方ないから帰ろうと思って立ち上がったら、急に目の前が真っ白になった。鼓動に合わせるようにチカチカと明滅したのを覚えている。割と冷静で、ああ本当に目の前が真っ白になるんだなと思った。そのまま家に帰って寝込んで、熱が一週間くらい下がらなかった記憶がある。

余談だが、親切な学部の先輩(男の人)がおにぎりを持ってきてくれて、大変美味しかった記憶がある。世の中には優しい人がいるものだと思ったのだが、のちに友達に「あの人、新興宗教の勧誘やってるから気をつけなよ」と言われた。真偽は定かでないが、とにかくご馳走様でした。

こんな個人的な記憶、誰が読むのかなという気がしてきたけど、書き始めちゃったので続けます。2回目は入社して間も無く、会社の健康診断で血液検査した時。採血って怖いなあど思いながらも、あまり経験がなかったので針が肘の裏側あたりの柔らかいところに刺さり、静脈を捉え、濃い赤色の血がシリンダーに入っていく一部始終をじっと眺めていた。それで、終わりですと言われて立ち上がった瞬間、天地が逆さまになったような感覚があり、思わずうずくまった。また目の前が真っ白になり、採決を担当した看護師の人にベッドで10分くらい寝てなさいと言われた。「あんなにずっと見てるから…」と言われた。

この時の感覚はものすごく鮮明に覚えていて、今でも健康診断の採血の列に並んでいるときに、頭が痺れるようなあの感じを思い出すことがある。すると、本当に頭が痺れてきて、手が冷たくなって汗ばんでくる。これはヤバイと思って、大抵はお昼に何食べようとか、別のことを考えて気をそらせます。針とか血とか、なるべく見ないようにする。一回なっちゃうと、その都度こわくなるので面倒です。健康診断前は早く寝て、体調を整え、針先なんか見ないようにしましょう。思い出すだけでちょっと気分がわるくなります。ぶるぶる。

やっと最後。最後は飛行機の中で、仕事でオーストラリアに向かっている時でした。夜発、朝着の便だったので、ご飯食べてお酒飲んでちょっと寝て起きたら、鼓動に合わせて徐々に目の前が真っ白になっていき、堪え難い息苦しさと吐き気が襲ってきたのです。これはヤバイ、これは死ぬ、と思って、通りがかりの客室乗務員さんを呼びました。

「大丈夫ですか?」
「これは大丈夫じゃない。目が見えなくて気持ち悪い」
と話したら、慌てて乗務員室にかけて行った。それから起こったこと。

  • 大きな酸素ボンベがゴロゴロ運ばれてきて、マスクを当てられて息をしろ、と指示
  • 「良くなっただろ」と言われたが、手の感覚までなくなってきて「ヤバイ」とだけ伝えた
  • 体格のいい男性乗務員がやってきて、肩を抱えられて通路スペースに毛布引いて寝かせられた
  • さらに折りたたんだ毛布を足の下に敷いて、足を上げてくれた

これで大分楽になって、落ち着いてきたところに…。

「アテンション・プリーズ、お客様の中に、お医者様はいらっしゃいませんか?」の機内放送。まさか自分のためにお医者様を探す機内放送が使われるとは…。

ありがたいことに、日本人、女性のお医者さんが来てくれて、脈をとったりライトで視線を確認したりしてくれた。もう大分良くなっていて、「このまま、休んでいたら大丈夫だろう」と言ってくださった。

何が原因だったのか、今でもわからないけど、調子に乗ってワインお代わりしたからかもしれないし、寒かったのでネックウォーマーして血流が阻害されたのかもしれません。客室乗務員の方、医師の方、ご親切に本当にありがとうございました。

さて、急になんでこんなこと書いているかというと、今たまたま飛行機に乗っているからなのです。ああいう経験は一度で十分なので、今後起こらないことを祈っております。あの感覚もまた、リアルに思い出せるんですよね…。ビールは一杯だけにしておこうかな。(おい。)

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